orig: 2002/01/13
例えば或る民族集団のGm血液型遺伝子の頻度が20世紀に採集したサンプルに就いて、青・緑・黄・赤に就いてそれぞれ55%、15%、15%、15%だったとしよう。この頻度は飽くまでも20世紀の或る時点におけるワンポイントのデータなのだ。サンプル数が十分大きくてその集団を代表しうるとしたところで、所詮一時点でのデータなのだ。そのような頻度が大昔から維持されていた保証もなければ、何時どのような混血が起こったか、は全く判らない。例えば下表のような長い歴史を通じた混血による頻度変遷の二十世紀における結果を見ているに過ぎないのだ。下表とそのグラフは全く勝手な数字を入れたものだ。二十世紀に検出される結果からは、二万年前の状態も、途中の経過も教えてくれない。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
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つまり上の表やグラフで二十世紀のデータだけを見て、その頻度が大昔から変わって居ないと考えたり、大昔にある頻度を持っていた集団が、その頻度を維持して移住した、とか、更に後代になっても同じ頻度を持っていると考えるのは全く根拠がない。 アボリジニの例でいえば、大昔、彼らの祖先集団が青と緑を持っている時代にオーストラリアに住み着いたのか、青だけの集団に緑の集団が混血して行ったため、今見るような頻度になったのか、移住の時点で既に青+緑になっていたのか判らない。少なくとも、その後発生したと考えられる赤や黄を持った人々との混血は検出されていない、ということだ。 |