ヤマタのヲロチ考・1
八口=八頭・八尾であるアイヌ語的背景
orig 2001/08/29

ヤマタのヲロチに関しての伝承は
出典主人公相手
古事記スサノヲ高志之八俣遠呂智
日本書紀スサノヲ八岐大蛇
出雲風土記所造天下大神越八口
のように、勝ち組みの主人公が、スサノヲなのか、所造天下大神(あめのした・つくらしし・おほかみ=大国主のことでしょう)、か定まっていないようだ。要するに出雲の英雄が越と戦って勝った、という記憶に有名な人名を宛てたに過ぎないのだろう。

口が蛇を隠喩するのは、クチナハ(蛇)、クチバミ(蝮)という古語があるので、八口とはヤマタのヲロチのことだ、として良いだろう。

アイヌ語から考えても、八口が八頭・八尾と語呂合わせが良い。すなわち:

口= par、 頭= pa, sapa、 尾= sar

8= tupesan, tupes

を使って:

 8口 tupesan par
 8頭 tupesan pa
 8頭 tupes sapa
その8尾tupes sara

「やつくち」りすと
地名都道府県名市町村名経度緯度
八ツ口岩手盛岡市1410600394100
八ツ口岩手水沢市1410800391000
八ツ口宮城高舘村1405100381100
八ツ口秋田飯田川町1400300395300
八ツ口埼玉妻沼町1392300361200
八ツ口新潟関川村1393900380400
八口富山高岡市1365700364400
八ツ口福井丸岡町1361500360800
八口福井永平寺1361600360800
八ツ口大分大田村1313500333000

Memo:

天八達之衢(あまの・やちまた)で立ち塞がっている人、鼻の長さが7咫、背の高さが7尺余り、7尋とでもいうか、口の脇が光輝き、眼は8咫の鏡のように赤赤と、赤いホウズキのようだ・・・

ヤマタのヲロチも眼も赤いホウズキのようで、巨大だ。

この二つ、って同源じゃぁないのか。。。

八達之衢に立つもの、をアイヌ語に直訳すると
tupesan aw or ot-i
8   俣 所 立つもの

後半が「ヲロチ」!!!??? 少し無理かもしれない。
しかし、 田村辞書には"puyar-or-ot-pe" 窓・の所・についている・もの(すだれのこと)が出ており、tupesan aw or ot-iも語の構造としてはあり得る。知里真志保のアイヌ語地名小辞典では ot に 群在(群居、群来)する、という意味を与えている。

つまり、tupesan aw or ot-i は、八つの・俣・の所に・ついている(群居する)・もの、という意味になる。


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