タイトル | : 古代日本語の特徴 |
記事No | : 1999 |
投稿日 | : 2011/01/21(Fri) 14:38 |
投稿者 | : 大三元 |
日本の古代を考えるにあたり「ことば」が絡んでいる場合は古代日本語で考えるべきであることは言うまでもない。古代日本語の特徴を考えないハナシが散見されるのは残念なことである。詳しくはその道の書を学んで欲しいが思いつくままに古代日本語の入門的特徴を記してみる。
1.八母音あった。例えば「キ」:「岐、祁」などが宛てられる甲類と「紀、木」などが宛てられる乙類がある。甲類で書かれているのに乙類で書かれるべき語で解釈してはなるまい。「ヒ」に関しても「日」は甲類、「火」は乙類である。「神」を「かみ」と読む場合の「み」は乙類であるから「加微」などと書かれる。「神」に相当する部分を「加美」(「美」は甲類)と書いている倭名抄(平安時代)の記述を古代史に適用する場合は十分注意せねばならない。
2.二重母音の忌避:例えば「我が妹」は「わが・いも」であろうところが「わぎも」となる。「あふみ」も「あは・うみ」(淡・海)の縮約(二重母音忌避)である。
3.「じ」と「ぢ」は区別されている。「ず」と「づ」も区別されている。「うじ(ウジ虫)」と「うぢ(氏)」は別語である。「くず(葛)」と「くづ(屑)」も別語である。
4.ラ行音で始まる語は無い。
5.濁音で始まる語は無い。
6.「ん」、「ゃ、ゅ、ょ」、「っ」は無い。
これらの特徴は平安時代あたりから崩れてくる(奈良時代後期から崩れるものや、室町時代まで保存されている特徴もあるが)。
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