「古事記に出てくる出雲の神様」として
http://www.dai3gen.net/izumo.htm にあげた表から抜粋する。
本人 =配偶者 ←配偶者の祖
9.速甕多気佐波夜遅奴美神=前玉比賣 ←天之甕主神
10.甕主日子神 =比那良志毘賣←淤加美神
ここで「甕」は「ミカ」と読んでいるが「タケミカヅチ」のことを
『日本書紀』では「武甕槌」とも書き、
『古事記』では「建御雷之男神」とも「建御雷神」とも用字する。
さすればこの出雲系譜の「甕」も「雷」に置き換え可能であろう。
本人 =配偶者 ←配偶者の祖
9.速雷多気佐波夜遅奴美神=前玉比賣 ←天之雷主神
10.雷主日子神 =比那良志毘賣←淤加美神
こう置き換えて作ってみると思い起こす事例がある。
山城国風土記(加茂社)のことである。
この伝承を表に示すと次のようになる。
本人 =配偶者 ←配偶者の祖
火雷神・丹塗矢=玉依日賣←賀茂建角身命
子:可茂別雷命
ここで出雲の「速雷多気佐波夜遅奴美神」と
山城の「賀茂建角身命」にある「多気(たけ)」、
「遅奴美(ちぬみ)」が「建(たけ)」、「角身(つぬみ)」と
共通乃至類似していることに気が付く。
この人たちは出雲では「本人」だが
山城では「配偶者の祖」と伝えられている、という異同はある。
「配偶者」に関してもいずれにも「玉」が入っている。
ついでに云えば出雲系譜11代に:
11.多比理岐志麻流美神=活玉前玉比賣←比比羅木之其花麻豆美神
とあり、配偶者名に「活玉」が現れる。山城では単に「玉依」であるが、
これと並行していると考えている「古事記」や「先代旧事本紀」では
「陶津耳命女活玉依毘賣」や「三島溝杭女活玉依姫」のように
「活玉依」と伝えられている。
伝承途中で名前や系図に乱れが入り込むことを考えれば、登場人物が
これだけ共通していそうなことには強く興味を惹かれる。