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*アイヌ・フォークロア=ニコライ・ネフスキーのアイヌ・フォークロアより:人間の始祖が星姫神と交わり人間界を創った物語 
 
| 田村辞書nociwの項より「星」の用例: |  | nociw kur 星影 |  | nociw kur ka maknatara 星影が(=星が)明るく輝いている |  | nociw onisposo 星が落ちる |  | nociw tup 星が流れる |  | kunnne nociw 夜の星 |  | 参考:北極星の名前は無いらしい。星を見て方角を知ったというような話はでてこない。 |  | nociw o kanto 星・がそこにある・天 |  
注目諸点:
1.服部四郎のアイヌ語方言辞典に出ている keta は宗谷・樺太・千島で使われている(た)。北海道のその他の地域では nociw である。keta が「星」を意味する語の古形であろうか。また、北海道で keta とは「菱」に関わる語である。参照:白兎2(そこからリンクしてある「おに菱の実」の写真は、これを星となぞらえるにふさわしい格好をしてはいる。) 
2.上記のように田村辞書では「北極星の名前はないらしい、としているが、同じく上記のように萱野辞書には ci=nukar-nociw として出ている。しかし、この意味も分析すれば「われら・見る・星」であり余り固有名詞的ではない。 
3.流れ星や星が流れるに tup という語が入っている。萱野辞書では「移る、場所を移す」。今、出典を当たろうとしたのだが見つからない・・・それは、どなたかが、太陽や月のことを cup というのは ciw-p すなわち(天空を)流れるものだから、と解き、舟の意味の cip も同様の語源に溯るとしておられた(と記憶する)。そうなら、この流れ星の tup も ciw-p がより相応しくなるであろうか。 
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