系統樹の書き方・読み方
研究者へのお願い
orig: 2004/05/05
MtDNA、Gm、各種ウイルスなどの系統樹が作られ諸人類集団の相互関係が判りやすく提示されている。(例:MtDNA

読者として読解に困ることを書いておく。


1.まず、線図の書き方、とその意味である。私の知っている限り全ての系統樹は、ある祖からの分岐を次のように書いている:
書式A:
    −−−枝1
祖−−|
    −−−枝2
これが意味「すべき」ことは、ある時点(横軸)で、祖から枝1と枝2が同時に分岐して、枝1と枝2も相互に異なるものであり、また、枝1と祖は異なるものであり、更に、枝2と祖も異なる、ということである。

本当にそういう意味を表現したい場合もあるだろうが、人類集団やウイルスの系統樹は上のような意味なのであろうか? 違うと思う。むしろ、実際に起こった現象は次のように書かれるべきではないか。

書式B:
祖−−−−−−−−−(本家、枝1)
    |
    −−−−−−枝2(分家)

ただし、研究の現状において、どちらが本家(祖を継いでいる)かが判明しない、ということもあろう。そのような場合に「逃げ」として書式Aを使うべきではないか。それも「どちらが本家か不明の為」に書式Aを使う、と注記して貰いたい。

本家筋が判定出来ている場合に書式Aを使うと、折角の判定が表出されない。書式Bを使うべきである。

以上のことは たけ(tk) さんがNIFTYの歴史フォーラムで数年前に指摘していたことであり、彼のサイトの一例のように描かれるべきであろう。この書式Bでは本家筋の消長が読みとれる。


2.次に系統樹の横軸が時間(年)を表しているのか、分岐の代(世代)を表している(横軸の長さが世代数に比例するのか)、あるいは、単に作図の便宜に過ぎないのか、が読みとれないことがある。

現在の人々から得たサンプルなのに、横軸の位置が異なるのは、何を表現しているのか判らないことがある。


発表なさる方々にお考え頂きたいところだ。
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