春日・考

orig: 2009/05/26

「かすが」を「春日」と書く理由について考えた。『時代別国語大辞典上代編』から関連語を拾うと、
         
はるかす他動詞:晴れるようにする、晴らす
はるく自動詞:ひらく、はらす(オシハルキ、天皇名にある)
はる雨がやんで晴れる、雲や霧なくなる
はるかすみ枕詞:同音の繰り返しで、地名春日にかかる
上記から既に自明でもあろうが、「かすが」という語を文字に置くにあたり「はるかす」を連想した者が「春」を「かす」に宛てたのであろう。「日」を「か」と読むのは「二日、三日」などから理解出来る。

このように、「はるかす」を想って「春」を「かす」と読むようなメカニズムは、「白」を「の」と読んだり「たへ」と読んだり「やま」に宛てたりするものと同趣と考える。
参考: https://dai3gen.net/nokagami.htm

綿密な考察としては「かすが」の最後の音の清濁、あるいは、「日」を「が」と読むか、あたりの追求も必要であろうが、今省く。「春日」と書いて「かすか」とまで読むことは上記で良かろう。

付随的に:既に「おし」が「(日月が)照る」ことであることを説いてきた。「オシハルキ」(オシハラキ)も「太陽が照る・晴れる」という意味合いであることを知れば「はる、晴れる」が「日」と関わっていることも強く意識されたであろう事が推察できる。

ここでは「春日」という文字が何故「かすが」を表すことになったかを考えた。「かすが」とは何の意味であるか、は別問題であり、今論じない。


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