萩原眞子(おぎはら・しんこ)著『北方諸民族の世界観』(草風館)というのを読んでいる。
第一部「創世神話」
第二部「虎、熊、シャチ:『主』の観念と世界観をめぐって」
第三部「アイヌの口承文芸」
という構成で、それぞれに興味ある資料・指摘があるが、ここでは第一部から「ナーナイの伝承」(p93)から引用する。
「ナーナイの伝承」
(a)
この世の始めには、・・・という三人の人間だけがいた。三羽の白鳥がいた。あるとき三人は三羽の白鳥と三羽のアビを土、石、砂を取りに潜らせた。鳥は潜った。七日間水の下にいた。そして、現れた。彼らは土、石、砂を持ってきた。そして、取ってきた土を持って飛び回った。かれらは世界中を翔けめぐった。アビがくちばしに土と石を持って飛ぶと、大地が生まれた。山と野が生まれた。・・・・
アビ:阿比(かもめ位の大きさの鳥。鵜に似て潜水力強大、魚群を追って集まる)
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イザナギの禊ぎ様子は次のようである。
また、海底に沈んで濯ぐと底少童命(そこわたつみのみこと)、底筒男命が生まれる。また潮の中に潜って濯ぐと、中津少童命、中筒男命。また、潮の上に浮き濯ぐと表津少童命、表筒男命。その底筒男命、中筒男命、表筒男命は住吉大神なり。底少童命、中津少童命、表津少童命は、安曇連等が祭る所の神なり。
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