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タイトル Re: みそさざい
投稿日: 2017/03/28(Tue) 16:50
投稿者大三元

百舌鳥古墳群の南南東8kmほどに「陶荒田神社」がある。「太田田根子」の居所とされる。崇神紀に依れば「太田田根子」の父は大物主大神、母は「活玉依媛」。「活玉依媛」の親は「陶津耳」とも「奇日方天日方建茅渟祇」とも云う。
「活玉依媛」と云えば他でもお目に掛かった名前であり血縁関係を調べてみる。
以下数行に於いて「→」は親子関係を、「=」は婚姻関係を表している。
古事記では:陶津耳命→活玉依毘賣=大物主神→櫛御方命
先代旧事本紀では:三島溝杭→活玉依姫=都味歯八重事代主神→天日方奇日方命
更に山城風土記逸文賀茂社では:賀茂建角身命→玉依日賣=火雷神(丹塗矢)→可茂別雷命 とある。表にしてみると次のようになる。

出典    母方祖父       母    父         本人
崇神紀   陶津耳        活玉依媛  大物主大神    太田田根子
崇神紀   奇日方天日方建茅渟祇 活玉依媛  大物主大神    太田田根子
古事記   陶津耳命       活玉依毘賣 大物主神     櫛御方命
旧事本紀  三島溝杭       活玉依姫 都味歯八重事代主神 天日方奇日方命
山城風土記 賀茂建角身命     玉依日賣  火雷神(丹塗矢) 可茂別雷命

山城風土記の伝承では「玉依日賣」で「活」を欠くが、母方祖父の名前の一部「建・角身」(たけ・つぬみ)が崇神紀の云う「建・茅渟祇」(たけ・ちぬつみ)に近いので同語と判定し、従い、ここの「玉依日賣」も「活玉依日賣」と同源の伝承と見た。(なお、「角身」の「み」(乙類)と「祇」の「み」(甲類)では甲乙の違いがある。)
 山王総本宮 日吉大社では「大山咋神と妃神 鴨玉依姫神の結婚を再現する儀式」が行われている。つまり上表で云えば「父」の欄に「大山咋神」が来るバージョンである。

上表すべての「(活)玉依」ヒメが同体ならばその父も異名にかかわらず同体であるはずだ。つまり「陶津耳」「奇日方天日方建茅渟祇」「陶津耳命」「三島溝杭」「賀茂建角身命」は同一人物と判定する。

この考えの基本は既に2001年にHPで掲げていたが
http://www.dai3gen.net/kamo04.htm
今回敷衍、書き直しに当たっては「三島鴨神社史」(三島鴨神社2006発行)を参照することが出来た。この本のp157に天坊幸彦氏の説として「三島溝咋耳命は三島溝咋に於て、鴨建津之身命は山城鴨に於て、陶津身命は陶に於ての呼称にていづれも同一の神なり」と引かれていた。先達が居られた!
(天坊氏は継体天皇陵が茶臼山古墳ではなく今城塚古墳である、と指摘した方)


かくして
「三島溝杭」は陶邑に居住していたか深い関係を持ち、百舌鳥耳原の命名説話に関連し、「みさんざい」に関わりがあるのではないか、と考えている。

付:
1.「陶荒田神社」に関しては
http://www.y-tohara.com/izumi-suearata-11.html
が詳しく、参考になる。
このサイトでは同社に「火雷神社」が合祀されているものの祭神が不明、ないしは「別雷神」「火雷神」という説もあるがその動機が不明である、との「大阪府神社史資料」を紹介している。上記私説をお読み頂いた方には「陶邑・陶津耳・賀茂建角身命・玉依日賣・火雷神(丹塗矢)・加茂別雷命」が順当に回路を形成していることを観じられるであろう。

2.「陶」(すゑ)とは「鬘」(かつら)のことである、と和名類聚抄にある。
http://www.dai3gen.net/kamo04.htm
葛城出自の鴨がこの地(茅渟)に来て「陶」邑と洒落たことでもあろうか。
そこで作られた土器が陶器(すゑ器):瀬戸以外で作られても瀬戸物・・・


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