近津など・メモ

orig: 2002/08/21
rev1: 2002/09/22 追記
rev2: 2011/12/25 追記マタギの習俗

神奈備さんのBBSで近津・近田・千形・千鹿頭 などと書かれる神社名(地名)について討議されている。背景を良く知らないままではあるが、言葉の点から興味のあることを二三書き留めておく。

参考サイトとして「神社の森」さんの「日本の神々 ちかたの神」をリンクしておく。http://nire.main.jp/rouman/ubu/tikata.htm  2012/11/23追記

アイヌで疱瘡をもたらす神を色々に呼ぶが、その一つに si-kat-or-(ke)-kamuyというのがある。直訳は「糞・形・所・魔神」とする。(知里真志保著『アイヌ語分類辞典・人間編』p354)

すなわち、咄嗟に、一見して、「シカ」という音、「形」という字(翻訳)に気が付く。これらの神社が病魔退散祈願に強く関連していれば面白いことになろう。

また、日本語の神社名(地名)は「シ」で始まるのではなく、「チ」で始まる、と言うことを考えておくと

(1)チとシが替わったのよ、という考えはどうか。替わったのは日本語の方で替わったのか、アイヌ語の方が替わったのか。アイヌの方に chi-kat-or-(ke)-kamuy というのは見あたらない。日本語の方に「シカト」神社などがあるだろうか?

(2)原語が chi-kat-or-(ke)-kamuy だったら、どういう意味になるだろうか。それは「陰茎・形・所・魔神」となる。近津(など)神社での男根崇拝の痕跡はどうであろうか。

近津(など)神社とミシャグチの関連はどうなのだろうか。何故なら、ミシャグチに mi-sak-chi を語呂合わせすれば、「着物*・無い・陰茎」となる。ミシャグチに男根崇拝の背景があるそうで、(setoh さん、ありがとう)この解は、ありそうな話に見える。下記[2011/12/25の追記]も参照。
*{但し、mi は少なくとも現在は「着る」という動詞であり、「衣類」という名詞ではない。昔、名詞にも使われた、という仮想に基づいている。[2002/09/22追記] しかし着物としては amip, imip, imi などの語形があり、上記着想を支持するであろう。

更にアイヌ語で chikappo とは通常小さい「鳥」のことだが、幼児語で「男児の陰部」を意味する(人間編p538)とある。素人分析をしてみれば、chi-kap 陰茎・の皮、であろうか。

si(本当の、大きい、糞)chi(陰茎)kat(形)chikap(鳥)、そして、疱瘡、あたりが「近津(など)」を解くキーワードではなかろうか。

[2011/12/25追記]Wikiより引用: マタギ発祥の地と云われる阿仁では戦前まで、一人前のマタギとして集団に属する儀式(成人式)の際、新成人ははと(ペニス)をいきり立たせて、山の神との象徴的な交合を行って結婚をする儀式が執り行われていた。これはマタギ衆以外に公言することが禁忌とされはばかられていたが、戦後の民俗調査での聞き取り記録で明らかになった。


今後つめたいこと:

・近津(など)と病魔、男根との関係
・近津(など)とミシャグチの関係


なお、疱瘡と鳥の関係(鳥が疱瘡を流行らせるという考え)、大年神との関係などは別に掲載してある。ここ。

耳の裂けた鹿・参照
仁徳・67・10丁酉、始築陵。是日、有鹿、忽起野中、走之入役民之中而仆死。時異其忽死、以探其痍。即百舌鳥、自耳出之飛去。因視耳中、悉咋割剥。故号其処、曰百舌鳥耳原者、其是之縁也。


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