「春日千乳早山香媛命」と「倭迹迹日百襲姫」
欠史8代:名前の秘密

orig: 2012/12/02


日本書紀によると 孝霊天皇妃 細媛命(磯城縣主大目の娘)は一説、春日千乳早山香媛。一説、十市縣主等祖女、眞舌媛とある。

 春日千乳早山香 媛  は 古事記では
 春日千千速眞若 比賣 と書かれる。これと
 倭 迹迹 日百襲姫  を比べてみて、もしや原点は
●倭 千千速目百襲姫  ではなかったか、と想像している。

既述のように「百襲」を「ももそ」と読むに関してはここの「もも」が古事記では「母母」とあり、それなら乙類の「もも」である;しかるに数値の100を言う「もも」は甲類である;という重大な疑問がある。

●そこで「百襲」は「ほそ」と解するべきではなかろうか、と考える。そうすると「百襲(ほそ)」は孝霊妃「細」媛の「ほそ」に合致する。「百襲」を「ほそ」と解する根拠は「倭迹迹日百襲姫」の別名に「倭迹速神浅茅原【目妙】姫」があることである。【目妙】は【目細】と同じであり、マクハシと読む。これをマホソと読み【目百襲】と宛てた、それが「日百襲」に誤写されたものと推定した。また「眞若比賣」の「眞若」も「目若、目少」と理解することも可能であろう。

●「倭迹迹日百襲姫」は孝霊皇后倭国香媛の娘とされているが、原点を「倭千千速目百襲姫」と考えるので、名前の継承の観点から孝霊天皇妃 細媛命、一説「春日千乳早山香媛」の娘なのであろう、と推定する。

●話は転じてスサノヲの子であり、「天津彦彦火瓊瓊杵尊(ニニギ)」の父親である「正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊」は普通「マサ・カ・ア・カツ・カチ・ハヤ・ヒ・アメノ・オシ・ホノ・ミコト」と読まれるが、頭音だけを拾って読み、他例を参照して読みを調整すると「マヤワカ チチハヤヒ」という音列が抽出できる。詳論は https://dai3gen.net/mayawaka.htm

●すなわち「正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊」と「春日千乳早山香媛」が多くの同音、類字音を共有している。「忍穂耳尊」の子は「瓊瓊杵(ニニギ)」である。「ニニギ」の「に」が孝霊天皇の和風諡号は「大日本根子彦太瓊」の「瓊(に)」に相当するか、と考えている。ちなみにニニギの母の名は色々に伝わるが「栲幡千千姫」もある;「千千」が注目される。系図の再構築を試みる。

    正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊┳栲幡千千姫
   ┏━━━━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━━┓
瓊瓊杵(ニニギ)(九州の伝承)


孝霊天皇(第7代、大日本根子彦太瓊)┳細媛命、一説 春日千乳早山香媛
        (大和の伝承)   ┃       ちちはやまやわか
               倭迹迹日百襲姫命
               倭千千速目百襲姫

マヤワカ考
倭迹迹日百襲姫命
速日考
HP