川上のはなし

orig: 98/03/20


別途、景行紀に登場する先住民らしき人達のリストを掲げましたが(景行紀の賊)その中にみられる「川上」という語に注目しています。即ち、景行天皇に反抗して戦って殺されたとされる賊の7人が「川上」に居住していたとか、「川上」で殺されたとか、「川上」が名前に付いています。その7名を抜き出しますと、
景行天皇年紀 名前場所備考
12/09鼻垂菟狭川上征伐される。参照耳垂
12/09耳垂御木川上征伐される。参照耳垂
12/09麻剥 高羽川上征伐される
12/09土折居折緑野川上征伐される
12/10鼠石窟稲葉川上で征伐される
12/10鼠石窟稲葉川上で征伐される
   ここから、やまとたけるの事績:
27/12取石鹿文熊襲国亦名、川上梟師。殺された

「川上」が賊だとすると、川下は賊ではなく体制派・ニニギ派にとって友好的だったのでしょうか。そういえば、川下は pana, pan← pa+ne というので、木花開耶姫の「花」は「川下」を意味しているようにも思えて興味があります。

アイヌの説話に「ペナンペ・パナンペ」というユーモアのある話があります。「川上人と川下人」とでも仮に訳しておきます。地方によって違いがあるそうですが、いずれにしても川上人と川下人は仲が悪い。。。ま、直接的に戦争している、などというのではありませんが、一方のやったウマイことを妬んで他方が真似するが大失敗をした挙げ句に死んでしまう、という基本路線を色々なストーリーで語るものです。(一編だけは、死なないで男なのに女性に代えられてしまう、というのがありますが。)(参考:「アイヌ民譚集」知里真志保編・著、岩波文庫−赤−81-1)他のアイヌ語関係書籍はこちら


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