石切神社祭神は長髓彦?

ORIG: 96/01/12
REV1: 98/04/29 table/refinements

東大阪市にある石切神社は一度行ってみたい所としてマークして居たのですが、機会がなかった所、知人に依頼して由来書を貰って貰いました。それによると、ご祭神は、(2002に参詣したが、追加情報なし)

石切剣箭神社:饒速日尊可美真手命
登美霊社  :三炊屋姫
石切祖霊殿 :石切大神

とあり、系図風に並べてみますと、

饒速日尊
 ||(婚姻)−●可美真手命
三炊屋姫
 | (兄妹)
 長髓彦

と関係者4人の内、●印をつけた3人までがここに祭られており、そうならば、 残る「石切大神」とは「長髓彦」のことではないだろうか、と思いました。

実は、「石切」がアイヌ語で「長い・足」の意味になるのです。如何にも「長髓彦」の名前を隠蔽しながら、祭っているような気にさせます。

萱野茂著「アイヌ語辞典」によると
i物、事、所、その、それ(が、に、を、へ)
やつ;私(に、を、の)
si本当に、まったく、最も、ぐっと、
自分(で);それ(を、の)
kir足、骨髄;知っている;見覚えがある
となります。

系図の検討とアイヌ語(先住民語を色濃く残していると思われる言語です)での「イシキリ」の意味、の2点から、石切大神とは長髓彦のことか、と推理しております。


長髓彦がアイヌ語 i-si-kir の和訳なら、その妹とか、妹の子どもの名前もアイヌ語で解けても良さそうです。以下に現状の葛藤状態をお見せします。

三炊屋姫は、ミカシキヤ姫と読みますが、これを、mike-kasi-kiyai、と分解しますと、光/照/輝・(〜の)上/上辺・光り、云う意味群になります。これは、天の羽羽矢でも述べている下照姫、或いはカヤナルミ考に登場する高照姫に近い意味合いが感じられます。

可美真手命は、ウマシマデのみこと、と読まれますが、後半の「真手」を漢字の「意味」で取りますと、彼の伯父にあたる「長髓」(長足、真足)と対比出来そうに思えます。

或いは、天の羽羽矢で論じたようにウマシマデとアジシキタカ彦を同一人物とした方がアタリに近いでしょうか。その線を追ってみます。アイヌ語に拘って、「可美」を kamuy と考えて、「真手」を si-tek、大きな手、位になりましょうか。これでも、kamuy→可美→ウマシ→味→アジ、と云う変化と、si-tek→シキタカを併せると、可美真手→アジスキタカ彦、になり得そう。

或いは、si-tek ではなく、「sik-tek いっぱいである・手」、からスタートすればシキタカへの変化はより自然でしょうか。

と言う具合に模索中です。


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