orig: 99/05/20
rev2: 2003/11/23 MS Gothic designated
古事記に出てくる出雲の神様では、スサノヲとクシナダ姫の系統の系図を掲出しましたが、ここでは、スサノヲと神大市比賣から生まれる大年神の系統をリストします。
つまり、スサノヲの子孫には2系統ありますが、クシナダ系統では配偶者も一人、生まれる子も一人しか記録されていないのに対して、こちらの大年神の系統では、兄弟姉妹も書いてあれば配偶者も複数の場合もあります。
それで、クシナダ系のような表にはまとめ難いので、むしろ従来の系図の書き方を採りました。
大山津見神
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神活須毘神 神大市比賣 ==+== スサノヲ ==============+== クシナダ
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伊怒比賣====+====*大年神==+=天知迦流美豆比賣 宇迦之御魂神 八島士奴美神
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+大国御魂神 +奥津日子神
+韓神 +奥津比賣命 亦名 大戸比賣神(竈の神)
+曾富理神 +大山咋神 亦名 山末之大主神
+白日神 +庭津日神
+聖神 +阿須波神
+波比岐神
+香山戸臣神
+羽山戸神=======+==大気都比賣
+庭高津日神 |
+大土神 |
亦名、土之御祖神 |
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+−−+−−+−−−−−+−−−−+−−−−+−−−+−−−+
若山咋 若年 妹若沙那賣 彌豆麻岐 夏高津日 秋毘賣 久久年 久久紀若室葛根
亦名 夏之賣
(この最後の行、全て最後に「神」がつくが、ここでは省略した。)
*大年神==+===香用比賣
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+−大香山戸臣神
+−御年神
私註:
- 神活須毘神:先代旧事本紀では「須沼比神」に造る(p98)。神prefix参照
- 神大市比賣:箸墓(倭トトビモモソ姫?)の所在地も「大市」。神prefix参照
- 伊怒比賣:出雲風土記秋鹿郡に「伊農郷」、出雲郡に「伊努郷」あり。●出雲の神様:赤衾伊農意保須美比古佐和気能命参照。
- 大年神:頭注に「年は年穀の意味」とする。大歳神とも書く。
- 宇迦之御魂神:頭注に「宇迦」はウケと同じく食の意味。別項「ウケ・ウカ考」参照。
- 大国御魂神:東京府中に「大国魂神社」あり祭神「大国魂大神」を神社では大国主と同じ、としている
- 韓神、曾富理神:共に「韓国」「ソホリ→ソフル→(今)ソウル」で半島に関係ありそうな神名である。韓神は延喜式に言う宮中神36座に入っている。もう一つ「園神」というのも入っているので、曾富理神のことかとも思われる。
- 白日神:或は「向日神」と書いた本もある。延喜式に向神社があり、向日神社「向日神」御歳神を向日神と申し上げる。かっては向日山に二座鎮座しており、向神社は上ノ社、乙訓坐火雷神社は下ノ社と呼ばれていた。火雷神社を併祭した。京都府向日市向日町北山65(神奈備HPより)
- 天知迦流美豆比賣:素性不明。「知迦流」(アイヌ語で chikar rup なら「群鳥」だが「鳥」が名前に付くのはクシナダ系の方。。。)参考:大年神と疱瘡神
- 大山咋神:「亦名 山末之大主神 この神は近淡海の日枝の山に坐し、亦葛野の松尾に坐して、鳴り鏑(の矢)を用いる神である」。出雲の「松尾神社」は佐香神社とも言い、酒の神社で「久斯(クス=薬=酒)之神、・・・大山咋神」を祭っている。(山城の松尾神社には「酒」の要素が窺えないが、、、
鳴り鏑(の矢)と「酒」から、アイヌ語の ku に「弓」「飲む」の二義あることが想起される。「矢」は ay であるから、ku ay で「弓矢」、これが「咋(クヒ)」と関連するか。まだ、小さい声(フォント)にしておく。
- 阿須波神、波比岐神:延喜式に言う宮中神36座にこの2神が入っている
- 羽山戸神:配偶者が、大気都比賣。国生み段の「大宜都比賣」とか、口から食物を出したので、汚いといって殺された大気都比賣とか、との異同はどうなんだろう? 別人(神)なんでしょうか。
でも、気になるのは日本書紀第8の一書では、カグツチを切った時に生まれた神、5柱が、「大山祇、中山祇、麓山祇、正勝山祇、シギ山祇」になった、とあり3番目の「麓山祇」は「はやま・づみ」、そうです、「羽山(戸)」と同じ音になります。「大気都比賣」と「豊宇気毘賣」の異同も定かではありませんが、「豊宇気毘賣」もカグツチが生まれた際にイザナミが傷ついて亡くなる、その時の尿から生まれた和久産巣日のこどもです。
- 庭高津日神:先代旧事本紀では「須庭津日神」
- 妹若沙名賣:先代旧事本紀(P97)「四世孫健飯勝命 此命娶出雲臣女子沙麻奈姫」
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