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[30] Re:[29] クレ(赤い、褐色)の広がり
>そして、アイヌ語のフレ(赤い)、日本語のクレナイ(紅)のクレが、モンゴル語のフレ(褐色)と同系の言葉であるのは明らかだと考えることができるのではないでしょうか。

このように、クレナイ(紅)のクレが(赤い)を表す言葉だとすると、ではクレナイのナイはどのような言葉なのかということが問題になってくる。
そこで、いろいろ見てみると、このクレナイとは呉藍(クレアイ→クレナイ)だとする見解がみられる。
藍は中国由来の染料で、中国を意味した呉からもたらされた染料という意味で呉藍と書いたのだとされる。
そうすると、ではなぜ、中国を表した呉(ゴ)の字にクレの音が付けられているのかという謎が出てくる。
この謎の解明を試みてみると、次のようなことが言えそうだ。
藍を染める場合、上代にはその藍の染料を生地に強く付着させるために、前処理としてキハダの染料で生地を黄色く染め、その上に藍を染め付けたのだそうだ。
このことからすると、クレナイのクレは前処理のときの褐色の染料を指し、そのあとに行う藍の染め付けの色をアイ=ナイと表現したものであるとみなすことができる。クレ(褐色)アイ(藍色)→クレナイというわけだ。
そして、この褐色を表すクレの発音を中国由来の意味を表す呉の字に乗せたのが呉藍(クレナイ)だと解釈できることになる。
そういうわけで、例えば広島県の呉(クレ)の地名のクレの発音は、必ずしも中国の呉地方に関連するものではなく、和語の褐色を表すクレに由来する発音だということが考えられる。
このように、意外なところにクレ(褐色)が隠れているようだ。
もう一つ例を上げてみると、夕暮れ(ユウグレ)のクレに暮の字が当てられていて、夕暮れのクレは暗いの意味だとされている。
しかし、夕暮れの夕(セキ)の字やユウの発音に暗いの意味があり、クレは地上が暗くなってきたときに空の上では夕焼けの紅の色が現われるその褐色の空の色を表していると考えることができる。
やはり、褐色を表すクレの言葉は、現在の日本語に確実に生きているようだ。
user.png 清明 date.png 2020/11/11(Wed) 20:11 | 返信 | 削除 |
[29] クレ(赤い、褐色)の広がり
このフレ、クレの発音が赤い、褐色の意を表す地理的な範囲は、モンゴルを境にさらに西方にも広がっているようだ。

赤い、褐色
キルギス語 kurong(クロン)=褐色
ロシア語 krasnyy(クラスニ)=赤い

キルギス語はチュルク諸語の一つであり、チュルク諸語にはキルギス語のほかにカザフ語、トルコ語なども含まれるものの、カザフ語やトルコ語の赤い、褐色を表す語はフレ、クレ系ではない。
また、ロシア語のほかのウクライナ語やベラルーシ語の場合も同じで、これらにはフレ、クレ系の赤い、褐色を表す言葉はみられない。
このようにみると、どうもフレ、クレの音が褐色や赤いの意を表す発現地は、モンゴル地方ではないかと想定するのが妥当のようだ。
そして、アイヌ語のフレ(赤い)、日本語のクレナイ(紅)のクレが、モンゴル語のフレ(褐色)と同系の言葉であるのは明らかだと考えることができるのではないでしょうか。
user.png 清明 date.png 2020/11/07(Sat) 19:26 | 返信 | 削除 |
[28] 無題
投稿が多くなっていて申し訳ない。
追加の追加として、次の語彙を挙げます。

アイヌ語のフレが「赤い」意を表すならば、和語のクレナイ(紅)のクレとアイヌ語のフレ(赤い)は、明らかに同系の言葉でしょう。
このように見ると、これまでに挙げたモンゴル語や女真語、アイヌ語、和語の赤いや褐色を表す語彙の語頭音にすべてウ音がみられることは、非常に示唆的だといえます。
user.png 清明 date.png 2020/11/05(Thu) 22:44 | 返信 | 削除 |
[27] Re:[26] 褐色
> 東アジアの北東部にフレ、フルなど褐色を表す語頭フ音の語圏があったことは、十分に考えられます。
> そして、和語のウ(鵜)やウズラ(鶉)のウ音も、褐色を表すその語圏の中の一つといっていいのではないかというわけです。

もう一つ追加すると、モンゴル語の「赤い」を表す語彙にulaan(ウラン)があり、このulaan(ウラン=赤い)は女真語のfulgiyan(フルジャン=赤い)、アイヌ語のフレ(赤い)の言葉の語頭音のfu(フ)からf音を取り除いたul(ウル)とよく類似します。
そして、このモンゴル語のulaan(ウラン=赤い)の語頭u(ウ)音は日本語の褐色を表すとみられるウ(鵜)などのウ音と合致します。
和語のウ(鵜)などのウ音が、褐色や赤色を表す東アジア東北部の語圏の語彙の一つであるとすることが、かなり整合性のあるものである可能性が出てきます。
user.png 清明 date.png 2020/11/05(Thu) 22:03 | 返信 | 削除 |
[26] 褐色
モンゴル語の褐色を表すkhuren(フレン)がアイヌ語のフレ(赤い)につながる途中の中継地としては満州が考えられ、そこで満州の女真語をみてみるとfulgiyan(フルジャン)がみつかります。
女真語のfulgiyan(フルジャン)は「赤い」の意味を持ち、このfulgiya(フルジャン)のful(フル)とアイヌ語のフレ(赤い)はよく似ているようにみえます。
女真人の故地は中国北東部の黒竜江の南あたりなので、地理的には満州北部と北海道は近く、アイヌ語のフレ(赤い)と女真語のフル(赤い)、モンゴル語のフレン(褐色)は同系の言葉であることは、まず間違いないでしょう。
東アジアの北東部にフレ、フルなど褐色を表す語頭フ音の語圏があったことは、十分に考えられます。
そして、和語のウ(鵜)やウズラ(鶉)のウ音も、褐色を表すその語圏の中の一つといっていいのではないかというわけです。
user.png 清明 date.png 2020/11/05(Thu) 21:11 | 返信 | 削除 |
[25] 無題
姥目樫を除くこととし、当初の論は鵜(ウ)、鶉(ウズラ)、ウグイス、ウグイ、ウグイガラ、ウメ(梅)などのウ音が和語の褐色を表す言葉ではなかったかと考えたもので、その褐色の色を表すウ音とモンゴル語の褐色を表すkhuren(フレン)のkhu(フ)は同系の言葉であろうとするのが本旨でした。
そこで、この褐色を表すモンゴル語のkhuren(フレン)がアイヌ語とも対応するかとみてみると、高い確率で同系とみられる語彙がみつかりました。
道東の白糠町にある和天別川の河口付近の支流にフレナイ川がそれ。
フレは「赤い」で、ナイは「川」だとの説明があり、この川の名になぜ「フレ=赤い」の言葉がつけられているのかというと、この川の水には鉄分が多く、川底に赤茶色の色がみられることから、その「フレ=赤い」の言葉がついたのだろうとするものです。
赤茶色は褐色を意味することから、このアイヌ語の「フレ=赤い」とモンゴル語の褐色を表すkhuren(フレン)は相当に高い確率で同系の言葉だとみることができます。
このように、アイヌ語の言葉とモンゴル語の言葉に同系性のものがあるとすれば、和語のウ(鵜)などの褐色を表しているとみなすことができるウ音
が、モンゴル語の褐色を表すkhren(フレン)と同系である可能性は、かなり高いとみることができます。
user.png 清明 date.png 2020/11/05(Thu) 20:40 | 返信 | 削除 |
[24] Re:[23] 姥の訓読み
> 「をば」ならば上代の書物に出てくるが「うば」は見られない。「をば」「うば」は相互に音は近いし、意味もほぼ同じ、とすれば「をば」の発音が後に「うば」に揺れたという日本語内部の現象であった、とする方が自然だ、と考える。従って私の意見としては:ここの「う」をモンゴル語に求めるのは当たらない;です。

いろいろ考えてみましたが、ウバ(姥)の構成をウ+バ(婆)とみて、その語義を老女とした場合、ウ音の由来は「嫗(ウ)」である可能性が出てきます。
嫗は「おうな、ばば」の意味です。
この嫗をウ婆のウに当てますと、嫗婆(ウバ)の音になります。
そして、この嫗(ウ)は、慣用的に嫗(オウ)の発音も用いられるようですので、この嫗婆は(オバ)の発音ともなり得ます。
このようにみますと、ウバ、オバは漢語の嫗と婆の合成語であり、当初はこの嫗婆でもって姥も姨も表していたと考えることができます。
それが平安時代頃にウバ(姥)とオバ(姨)に分離したということではないでしょうか。
このように、ウ婆=嫗婆であるならば、このウ音は漢語由来ということになりますから、姥目樫のウ音がモンゴル語のkhuren(フレン)のkhu(フ)と同系であるとする線はなくなります。
まあ、このあたりでしょうね。^^

なお、鵜(ウ)や鶉(ウズラ)のウ音については、ウグイス、ウグイ、ウグイガラ、ウメ(梅)などの呼称においても同じであり、その語頭のウ音が褐色系の色を表す言葉であった可能性が考えられます。
ウグイス~ウメ(梅)のウ音が褐色に関連する色を表す言葉であったとする可能性について、もう少し論を張ってみたいと思います。
user.png 清明 date.png 2020/11/05(Thu) 16:27 | 返信 | 削除 |
[23] Re:[22] 姥の訓読み
「をば」ならば上代の書物に出てくるが「うば」は見られない。「をば」「うば」は相互に音は近いし、意味もほぼ同じ、とすれば「をば」の発音が後に「うば」に揺れたという日本語内部の現象であった、とする方が自然だ、と考える。従って私の意見としては:ここの「う」をモンゴル語に求めるのは当たらない;です。
user.png 大三元 date.png 2020/11/05(Thu) 06:28 | 返信 | 削除 |
[22] Re:[21] 姥の訓読み
> そして、このウバ(姥)の和訓がいつから文献にみられるかという点につきまして、現在、万葉集などに当たっているところです。

姥をウバと読む読み方は、平安時代中期の1001年頃に成立した枕草子の134段にみえる「姥捨山」にみられます。
この姥はチオモ、メノトなどの読みではないようです。
姥捨山の話はインド起源で、これに中国での親捨て話が加わっているそうです。奈良時代にもたらされたとされるようです。
この親を捨てる話には色々なバージョンがみられる、平安時代前期の951年頃に成立した大和物語では「姨捨山」と書かれていて、自分の親ではなく伯母とされているようです。
この親を山に捨てる話は奈良時代にもたらされて、そのバージョンによって姥、姨の字が用いられたと思われますから、奈良時代にはウバ(姥)の言葉はあったとみていいのではないでしょうか。

そして、このウバ(姥)、オバ(姨)ともに語尾はバ音となっています。
ですので、それぞれの構成はウ+バ、オ+バだと考えることが可能で、その語尾のバ音は漢語「婆」の呉音のバだと推測することができます。
婆の意味は、年老いた女性、妻、夫の母(姑)などです。

なお、乳母の例は万葉集12-2925にみえ、この万葉集の歌の乳母の場合は「於毛」と読んでいます。
user.png 清明 date.png 2020/11/04(Wed) 19:35 | 返信 | 削除 |
[21] 姥の訓読み
姥の字は日本書紀開化天皇の妃の姥津媛で用いられていて、この読みは「ハハ」だとする解説がみられます。
一方、漢和辞典(学研漢和大字典)では、婆の字の古訓は「ハハ」だとするものがあります。
としますと、姥(ハハ)も婆(ハハ)も、和語としてはどちらもハハでありますから、この古訓のハハの由来を知る必要が出てきます。
そこで、婆の漢音をみますと、呉音がバ、漢音がハ、唐音がホとなっています。
このことからしますと、婆をハハと読むのは漢音のハの畳語である可能性が出てきます。これを呉音で読むと婆はバでありますから、畳語ではババとなり、我々馴染みのババちゃんなどの呼称となります。
そうしますと、日本書紀の姥のハハの読みは、婆の漢音ハに由来するものであり、この姥を呉音で読むとバということになります。
したがいまして、姥をウバと読む読み方は呉音に由来するものであるとみることが可能になります。
先に、姥(ウバ)はウ+婆(バ)の構成であるとしましたが、上のことからその解釈は妥当であることが分かります。

そして、このウバ(姥)の和訓がいつから文献にみられるかという点につきまして、現在、万葉集などに当たっているところです。
見つけましたら、お知らせいたします。
user.png 清明 date.png 2020/11/04(Wed) 17:21 | 返信 | 削除 |

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