ホーム 留意事項 検索 管理
おなまえ
e-mail
タイトル
メッセージ
参照先
削除キー (英数字で8文字以内)  情報保存
[67] 著書紹介
『邪馬台国・うきは市説考察』 ―うきは市の古代史―
2023年9月30日 初版
著者:三人共著
・ 松下愛(元・久留米大学講師)
第1章
うきは市の古代史を読むために<1頁~9頁執筆>
・福島雅彦(古代史研究家・一級建築士)
第2章
邪馬台国は高天原(1)<11頁~43頁執筆>
第3章
邪馬台国は高天原(2)<49頁~53頁執筆>
・大矢野栄次(久留米大学名誉教授)
第4章
うきは市の双方中円墳(西の城古墳)の意味<75頁~101頁執筆>
第5章
うきは市の賀茂神社(103頁~111頁執筆)
第6章
邪馬台国と神武東征(113頁~129頁執筆)
   
発行者:株式会社五弦舎 定価(本体1,400円+税)
user.png 福島雅彦 date.png 2024/12/03(Tue) 17:02 | 返信 | 削除 |
[66] 石上神宮
既に「裸伴考」にて兎砥川上で作られた千口の刀剣の名称についてアイヌ語背景を感得できることを述べています。この刀剣は後に石上神宮に収められたと日本書紀に書いてあります。
 兎・砥・川上=isopo・ruy・pene から
 iso ➩ 石
 川上➩ 上 の関連を見ると
現在石上神宮では兎が神使であるとして土産物に作っている、その背景が窺い知れそうだ。
user.png 大三元 date.png 2024/10/19(Sat) 15:11 home | 返信 | 削除 |
[65] 韓国語のbat(パァ=畑、原野、野)の言葉はどこから来たか
日本語の畑(はたけ)と畑(はた)は、どう違うのでしょう。
ハタケ(畑)のケは、毛(ケ)のようです。
皮膚に生えてくる毛のことですね。
この皮膚を土地に置き換えますと、土地に生えてくる成り物を毛(ケ)にたとえたのでしょう。
栃木県や群馬県あたりを古くは「毛野(けの)」と呼びましたが、「稲がたくさん育つ土地」ということなのでしょう。
これが、ハタケ(畑)のケの意味だと思われます。

このように見ますと、ハタケ(畑)とは畑(ハタ)+ケ(毛)の合成になる言葉であり、その語幹はハタにあることが分かりますから、この語幹のハタと畑(ハタ)はまったく同じものであることが分かります。
つまり、ハタ(畑)があって、そのハタ(畑)に生える稲などの成り物がハタケ(畑毛)なわけですね。
ですので、そのハタケ(畑毛=成り物)の言葉が、成り物をつくる土地の意味に転化したのが現在のハタケ(畑)なのだと想像できます。

さて、ここで、この日本語のハタ(畑)と韓国語のそれに相当する言葉を比較してみましょう。

ハタ(畑)
韓国語 bat(パァ)=畑

日本語のハタの語頭音のハ音とよく似ています。
同系語彙と見ることも可能ですね。
双方は、確かに同系の語彙なのでしょうか。

そこで、日本語のハタ(畑)の言葉のルーツを考えてみましょう。
ハタ(畑)の発音と語義がともに類似する外国語を探してみますと、マレー語とタガログ語ににそれがみつかります。

ハタ(畑)
韓国語 bat(パァ)=畑、原野、野
マレー語 padan(パダン)=畑、原野、分野
タガログ語 patlang(パトラン)=フィールド、畑、場

日本語のハタ(畑)とマレー語のpadan(パダン=畑、原野)の語幹のpada(パダ)の発音はかなり近い音です。
また、語義は同じです。
タガログ語のpatlang(パトㇻン=フィールド、原野)の語幹のpat(バト)も日本語のハタ(畑)とよく似ています。
語義も同じです。
日本語のハタ(畑)の語頭音のハとマレー語・タガログ語の語頭のパの破裂音が異なりますが、日本語においてその破裂音が落ちて清音のハに変化したと考えれば、問題はありません。
マレー語とタガログ語はオーストロネシア語派として同系の言語ですから、この双方がよく似ているのはそのためでしょう。

そうしますと、日本語にはマレー語、あるいはタガログ語の祖語に由来する言葉が混じっていることになりますが、今から1万2000年前の縄文草創期に南方から貝殻文土器を携えて南九州に上陸した種族がいて、この貝殻文土器は今の中国浙江省沿岸の遺跡で見つかる様式の土器とよく似ているそうです。
あるいは、縄文中期頃に日本には陸稲がもたらされていた可能性が極めた高いことから、この時期に南方からオーストロネシア語の言葉を話す種族が渡って来ていたことも考えることができます。

いずれにしましても、オーストロネシア語の言葉が日本語に混じっているのは、このようなオーストロネシア語を話す種族が九州に渡って来ていて、縄文人と共生していたためと考えると理解しやすいでしょう。

さて、この1万2000年前に南方から九州に渡って来た種族がいて、その2000年後の1万年前には朝鮮半島の済州島で九州系の土器や貝殻工作品を造った者たちが住んだ遺跡がみつかっています。
さらに、7500年前からは半島本土の蔚山などでやはり九州系土器の出る遺跡がみつかっています。
これは、朝鮮半島に人が住み始めたことを示す櫛目文土器が今のソウルの川沿いの遺跡でみつかった6000年前よりも前のことなのです。
この縄文人系とみられる朝鮮半島先住民と櫛目文土器を携えた後続の種族が交易などで接触があったと考えるのは自然なことです。
交易があれば、この交易に携わる者たちを介して、双方の言語の語彙が行き来するのも自然なことです。

韓国語の畑を表すbat(パァ)とマレー語やタガログ語のpadan(パダン=畑)、patlang(パトラン=フィールド、畑、分野)の語頭音のpada(パダ)、pat(パト)とよく似ているのは、この語彙交換の結果とみることは可能でしょう。

この考えに立ちますと、韓国語のbat(パァ=畑)の言葉は、はるか昔の縄文人(オーストロネシア語を話す種族)から受け取った言葉がルーツである可能性が出てきます。

ところで、韓国語には4000年前に遼河語地方から四散した遼河人の言語の語彙がかなり混じっているとみられていますので、このbat(パァ=畑)の言葉が遼河語系の言葉である可能性はないのか調べてみる必要があります。

現在のフィンランド語やエストニア語などはこの遼河語から別れた言語とされますので、このフィンランド語などに韓国語のbat(パァ=畑)とよく似た語彙があれば、このbat(パァ=畑)がオーストロネシア語系のルーツを持つ語とする考えは揺らいできます。

フィンランド語などの畑に関連する語彙を見てみましょう。

韓国語 bat(パァ)=畑、原野、野
フィンランド語 pelto(ぺルト)=畑、フィールド
エストニア語 pold(ポル)=畑、フィールド、分野

語頭の発音は、それぞれよく似ています。
語義は、まったく同じです。
関連はあるのでしょうか。

そこで、フィンランド語と語彙交換のあるデンマーク語やその他の言語も見てみましょう。

フィンランド語 peito(ベルト)=畑、フィールド
デンマーク語 felt(フェル)=フィールド、畑、分野
スウェーデン語 falt(ファルト)=畑、原野、分野
ドイツ語 feid(へルト)=畑、原野、野、分野
英語 field(フィールド)=畑、野、場 

これを見ますと、フィンランド語のpelto(ぺルト=畑、フィールド)は、デンマーク語などの北欧ゲルマン語の語彙と同系の語彙であることが分かります。

そうしますと、韓国語のbat(パァ=畑、原野、野)は、遼河語から混入した語ではない可能性が高くなりますね。
やはり、オーストロネシア語系の言語であるマレー語のpadan(パダン=畑、原野)やタガログ語のpatlang(パトラン=畑、フィールド)の祖語に由来する語彙を持つ縄文語から混じりこんだのが韓国語のbat(パァ=畑、原野、野)の古語なのではないでしょうか。

今回は、縄文語の語彙が韓国語の語彙の祖型となったと考えられるケースを見てみました。
つまり、北と南からの語彙が、今の韓国語の語彙の中にみられるというわけです。
user.png 空とぶマントヒヒ date.png 2024/09/02(Mon) 18:04 | 返信 | 削除 |
[64] 国鳥キジ(雉)の名の成り立ちはどのようなものだったのか
台風の影響で外出がままなりません。
引き続き、語源探索を続けます。

日本の国鳥は雉(キジ)ですが、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%82%B8
このサイトによると、平安時代の和名抄では雉子(木々須=キギス)とされていおり、このキギスのスはカラスやカケスなどに付けられているスと同じで鳥を意味する語とされますので、キジの古名のキギスの語幹はキギということになります。
そして、雉の鳴き声は、このサイトによりますとhttps://www.youtube.com/watch?v=SMkAbV-z-iw 
キェ、あるいはギェのように聞こえます。
この鳴き声の擬音がキギで、それに鳥を表すスを付けて、「キギと鳴く鳥=キギス」としたのでしょう。

このことからしますと、キジ(雉)とは「キ(鳴き声)+ジ」の合成語と考えることができます。
では、この「ジ」とは何なのでしょう。

韓国語を見てみましょう。
雉は、韓国語では雉(chi=チィ)の発音です。
この韓国語の雉(chi=チィ)の発音は、日本語の雉の発音の呉音ジ、漢音チのうちの漢音のチとよく似ています。
韓国語の雉(chi=チィ)は、隋唐音の雉(tsi=チ)の発音に由来していることが推測されますね。

そして、日本語の雉の字の呉音はジですので、キジ(雉)のジは中古音である呉音のジに由来していると推測することができます。
そうしますと、キェ、ギェと鳴く雉(木々須=キギス)の声の擬音であるキギのキ音に中国語の雉を表す呉音のジを合わせたのが、キジ(雉)の名だということになってきます。

つまり、雉を表す和語のキギスと中国語由来の雉(ジ)を合わせたのが、キジ(雉)の名だというわけです。
この点、中国語の隋唐音の雉(tsi=チ)をそのままそっくり取り入れた古代朝鮮語に由来する韓国語の雉(chi=チィ)と異なるところです。

韓国語の場合、すべてがこのようなケースではありませんが、日本語の場合は和語と漢語を合わせた造語が多いのと比べますと、韓国語の場合は漢語をそのまま取り入れるケースが割合と多いように見えるということです。
これは、興味深い点ではありますね。
user.png 空とぶマントヒヒ date.png 2024/08/28(Wed) 18:34 | 返信 | 削除 |
[63] 蚕(コ)の言葉はどこから来たか
息抜きに外へ出ようと思いましたが、ひどい猛暑で外出できません。
やむなく、語源探索を続けることになりました。
少し面白い語源の構図がみつかりましたので、ご報告いたします。

日本語のカイコ(蚕)は、カイ・コの合成語だと思われます。
このカイ・コは「飼い」+「コ(蚕)」の語義でしょうね。
そうしますと、蚕自体の呼称は「コ」だということになります。

そこで、韓国語の蚕の語を見てみますと、蚕はjan(チャン)です。
中国語の繭を表す語はjian(ジャン)ですから、韓国語の蚕を表すjan(チャン)は中国語の繭(ジャン)を語源とする語であることが推測されます。
では、韓国語で繭を表す語は何かと見ますと、繭はgochi(コチィ)です。
このgochi(コチィ=繭)の語を分解してみますと、蚕(コ)+家(jib=チィ)の合成語の可能性が考えられます。

このように見ますと、日本語の蚕(カイコ=飼い蚕)のコ(蚕)と韓国語の繭(コチィ=蚕・家)のコ(蚕)はまったく同じ発音・語義となりますので、双方は同系の語彙とみなすことができそうです。
そして、中国語の蚕の発音はcan(サン)で、繭はjian(ジャン)ですので、コ(蚕)は中国語由来ではないことが分かります。

では、日本語のコ(蚕)や韓国語のコ(蚕)の語は、いったいどこから来た言葉なのかということになります。
そこで、例のごとく外国語に類似の発音と語義の言葉を見てみますと、次のようになります。

コ(蚕)
韓国語 go(コ)=蚕
モンゴル語 khur khorkhoin uur(フル・コルコイン・ウウル)=繭
フィンランド語 koteloida(コテロイダ)=繭
エストニア語 kookon(コーコン)=繭
カザフ語 kokon(ココン)=繭
キルギス語 kokon(ココン)=繭
トルコ語 koza(コザ)=繭
パンジャブ語 kokuna(コクーン)=繭
サンスクリット kokuran(コクラ)=繭

これらを見ますと、サンスクリットからフィンランド、モンゴル語まで繭を表す言葉はkoku(コク)、koko(ココ)などが語幹となっていることが分かります。
語頭音だけを見ますと、すべてko(コ)音となっています。
これらの語の語源は、おそらくサンスクリットのkokuran(コクラ=繭)ではないでしょうか。

そして、この語頭のko(コ=繭)と日本語のコ(蚕)、韓国語のコ(蚕)は同系の発音と見ることができますね。
日本語のコ(蚕)や韓国語のコ(蚕)の語源は、キルギス語などのkokon(ココン=繭)の可能性があります。

絹の産地でキルギスと最も近いのはタリム盆地のホータンですが、ホータンは中国から蚕の繭を密かに入手して高級絹織物の一大産地となったことが知られています。
ホータンの言語は4世紀後半まではカザフ語やキルギス語などのチュルク系の言語と同種の言語だったとされますから、キルギス語のkokon(ココン=繭)と類似のホータン語の繭を表す語が交易にともなって古代朝鮮や古代日本にもたらされ、その語の語頭のコ音でもって蚕を表すようになったと考えるのが合理的です。

やはり、中央アジア→内モンゴル→朝鮮半島を経て日本につながる交易ルートが、いろいろな言葉を日本にもたらしていたとするのがよいと思われます。
user.png 空とぶマントヒヒ date.png 2024/08/23(Fri) 15:44 | 返信 | 削除 |
[62] 語源は面白いですね
みなさん、これはという語源説がありましたら、ぜひ教えてください。
少し休憩します。
user.png 空とぶマントヒヒ date.png 2024/08/22(Thu) 01:50 | 返信 | 削除 |
[61] インドから日本へつながる交易路
さきに、パンジャブ語の黒を表すkala(カーラ)の言葉は、中央アジアから朝鮮半島、日本へと広範囲にわたって拡散した言葉だったと述べましたが、このkala(カーラ=黒)と同じように広く拡散した言葉が別に見られます。
日本語のウエ(ウへ、ウワ=上)の言葉がそれです。

日本語のウエ(上)と同音、同義の言葉は韓国語に見られます。
韓国語で上を表す言葉にwi(ウィ)があります。
韓国語のwi(ウィ=上)に「~に」の方向を表すe(エ)を付けますとwie(ウィエ)となり、これは「上に」の語義となります。
このwie(ウィエ=上に)は、日本語の上を表す「ウエ・ウへ」の発音とぴったりと重なり、語義もほとんど同じです。
双方は、明らかに同系語彙でしょうね。

では、この韓国語のwi(ウィ=上)や日本語のウエ(上)の言葉は、いったいどこから来た言葉なのでしようか。
発音と語義が類似する言葉を外国語に探して見ますと、次のようになります。

ウエ(上)
モンゴル語 unet(ウネ)=尊い
パンジャブ語 upara(ウパラ)=上
ヒンディー語 umda(ウムダ)=秀でる
サンスクリット upa(ウパ)=上

日本語のウエ(上)、韓国語のwi(ウィ=上)と発音、語義が一致するのは、パンジャブ語のupra(ウパラ=上)とサンスクリットのupa(ウパ=上)です。
モンゴル語のunet(ウネ=尊い)は、ヒンディー語のumda(ウムダ=秀でる)と関連がありそうです。

これらを見ますと、日本語のウエ(上)や韓国語のwi(ウィ=上)の言葉の語源はどうやら、サンスクリットのupa(ウパ=上)が語源ではないでしょうか。

なお、日本語には上(ウエ)を表す語にウワ(上)がありますが、このウワ(上)の古音はウハと見られていますから、ウハ(上)はサンスクリットのupa(ウパ=上)やパンジャブ語のupara(ウパラ=上)とほぼ同じ発音であり、語義はまったく同じですですので、ウエ・ウへ(上)の言葉はウハ(上)が訛った語だとしますと、日本語のウエ(上)の言葉はサンスクリットに由来する語だとみなすことが可能ですね。

やはり、パンジャブ語のkala(カーラ=黒)と同じで、サンスクリットやパンジャブ語のupa(ウパ=上)、upara(ウパラ=上)の言葉は交易に随伴して広く拡散し、その拡散は日本にまで届いていたとすることができそうですね。
user.png 空とぶマントヒヒ date.png 2024/08/21(Wed) 17:13 | 返信 | 削除 |
[60] [59]の訂正
[59]ソウルとは何語が起源か-の11行目の「統一された新羅の首都でありましたから」は、「1392年に李氏朝鮮の首都となりましたので」に改めます。
user.png 空とぶマントヒヒ date.png 2024/08/20(Tue) 21:27 | 返信 | 削除 |
[59] ソウルとは何語が起源か
韓国の首都は、ソウリ(日本語発音はソウル)です。
このソウリは、首都・都の語義だとされています。
https://m.kpedia.jp/w/14252
では、首都・都の語義は確かなのでしょうか。

ソウリに当てる漢字は、首爾があるようです。
首の字の中古音はsiau(シャウ)で、爾の中古音nie(二ェ)ですが、別にrie(リェ)の発音もあるそうです。
そうしますと、首爾の漢字の発音は「シャウ二ェ」のほかに「シャウリェ」もあることになりますので、ソウリに当てた首爾の漢字の発音としては「シャウリェ」が妥当ということになります。
おそらく、ソウリという発音が元々あって、その発音を漢字表記するために首爾(シャウリェ)の字を当てたのだろうと考えることができます。
そして、現在の「ソウリ」の古い発音は、「シャウリ」に近いものだった可能性が高いと思われます。

そして、ソウリは漢字の中古音時代には統一された新羅の首都でありましたから、首都・都であるソウリに当てる類似音の漢字として首(シャウ)が用いられたのだと見ることもできます。
そして、先に挙げましたように、爾(リェ)の漢字の語義は「そばに寄り添う」というものですので、この爾(リェ)の字の「ぴたっとくっつく」の語義は首都・都の意味とはどうも関連がなさそうです。
爾(リェ)はソウリのリ音を表すための雅語のように見えますね。

このように考えますと、ソウリの語義は「首都・都」であるとする説は、漢字を当てた後の解釈である可能性もあるということになります。
つまり、そうした解釈がなされる前からソウリの言葉はあって、その語義は定かではないというのが正直なところだと思われます。

それでは、実際、ソウリとはいかなる意味の言葉なのでしようか。

現地の言葉として意味が捉えにくい語の場合は、それは外来語起源の言葉だと想定して、外国語に発音と語義の類似する言葉を探すのが鉄則です。
この考えのもとに、外国の言葉で発音などが類似する語彙を探してみましょう。
そうしますと、二か国の言葉が浮かんできます。
それを見てみましょう。

ソウリ
モンゴル語 setgel(セゲル)=魂
フィンランド語 sielu(シエル)=魂

この二か国の「魂」を表す言葉の発音は、かなり似ています。
同系の語彙でしょう。
そして、韓国語のソウリの発音と近いのはフィンランド語のsielu(シエル)のほうです。
先に述べましたように、「ソウリ」の古い発音は漢字表記の首爾(シャウリェ)に近いものだった可能性がありますから、フィンランド語のsielu(シエル)と古い朝鮮語の「シャウリェ(ソウリ)」の発音は相当類似していると見ることができます。

このフィンランド語の原郷は中国遼河地方にいたY-N種族の言語の遼河語とされていますので、遼河族と朝鮮半島との関わりの歴史を見ますと、今から4000年前頃に遼河族は遼河から四散して、その一派は朝鮮半島に南下したと考え売られています。
この遼河族の四散は、何度か述べました。

そうしますと、遼河語の「魂」を表す「sielu(シエル)」の古語が古代朝鮮語に取り入れられた可能性を考えることができますね。
特に、sielu(シエル)の語頭のシ音や漢字表記の首爾(シャウリェ)のシャ音が同じサ行列のソ音に訛ったのが現在のソウリとすることも可能でしょう。

このように、発音がよく似たフィンランド語のsielu(シエル=魂)と韓国語のソウリ(シャウリェ)を遼河語の同系語彙とみた場合、韓国語のソウリとは「魂」という語義の言葉であることが推測できることになります。
そして、その「魂」と名付けられた地が韓族の伝統的な都となって行くわけですから、ソウリの語義を「魂」とすることは整合性が取れることだと思います。

こうしたことからしまして、韓国語のseoul(ソウリ)は、遼河語を語源とする古い外来語だとすることができそうです。
user.png 空とぶマントヒヒ date.png 2024/08/20(Tue) 18:47 | 返信 | 削除 |
[58] 語源の旅 加羅とは何か
古代の朝鮮半島の三国の一つカラ(加羅)とは、どんな意味なのでしょうか。
加羅と伽耶は、同じ地方を指しているとされます。
では、なぜ呼称が異なるのでしようか。
このことについて、確かな説はあまり説明されていないように見えます。
そういうわけですので、別の角度から、まず、発音が同じ日本語のカラス(烏)を鍵として、考えを進めてみたいと思います。

カラス(烏)のスは、鳥を意味する言葉だとする説が有力です。
そうしますと、カラスのカラとはどのような意味の言葉なのとの問いが出てきますね。
烏はカアカアと鳴くことから、その擬音がカラだとする説がみられます。
しかし、カラスは黒い色をしていますので、黒い色を表すのがカラではないかと推測する意見もあるようです。
ただ、日本語には、カラの発音で黒を意味する言葉は見られません。

そこで、この意見に従って、外国語にカラの発音と黒の語義、あるいはカラに類似する発音と黒の語義の言葉を探してみますと、次の語が見つかります。


モンゴル語 khar(ハル)=黒
カザフ語 qara(カラ)=黒
キルギス語 kara(カラ)=黒
パンジャブ語 kala(カーラ)=黒
ヒンディー語 kaala(カーラ)=黒
ネパール語 kalo(カーロ)=黒
サンスクリット krushnah(クルシュナ)=黒

これらを見ますと、カラの発音で黒を語義とする言葉は、インドから中央アジア、モンゴルに広がって見られることが分かります。
サンスクリットのkrushnah(クルシュナ)が黒を表していることからしますと、パンジャブ語のkala(カーラ=黒)やヒンディー語のkaala(カーラ=黒)、ネパール語のkalo(カーロ=黒)などはサンスクリットのkrushnah(クルシュナ=黒)の語頭のkru(クル)が訛った語だとすることができるでしょう。

このことからしまして、カザフ語のqara(カラ=黒)やキルギス語のkara(カラ=黒)、モンゴル語のkhar(ハル=黒)などはパンジャブ語のkala(カーラ=黒)の言葉が交易に随伴して北へ広がったものと考えることができるでしょう。
そうしますと、日本語のカラス(烏)のカラは黒を表しているとする意見は、確かに妥当なものとすることができます。
カラス(烏)とは「黒い鳥」の語義だと言うことになります。

このように、インドのパンジャブ語起源のカラ(黒)の言葉が日本にまでもたらされていると考えられることからしまして、その途中の朝鮮半島にもこのカラ(黒)の言葉はもたらされていたはずだとみなすことは妥当だと思われます。
しかしながら、カラの発音で黒を語義とする言葉は、韓国語には見られません。
そこで、韓国語の黒を表す言葉を見てみることにします。


韓国語 geom-eunsaeg(カムンセク)=ブラック、黒い色

この語は、geom(カム=剣)+eun(エン=銀)+saeg(セク=色)の合成語のようですので、「剣の銀色」が「ブラック、黒い色」を表していることになります。
なぜ、剣の銀色が「黒色」の意味になるのかと言いますと、鉄を溶かしてこれを剣の鋳型に流して剣を造りますと、鋳型から取り出したときのその剣の色は銀色をしていまして、その銀色は「鈍い黒さ」の色であることにちなんで「黒色」の語義がついたと考えることができます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%84#:~:text=%E9%89%84%EF%BC%88%E3%81%A6%E3%81%A4%E3%80%81%E6%97%A7%E5%AD%97%E4%BD%93,%E5%A4%96%E6%A0%B8%E3%83%BB%E5%86%85%E6%A0%B8%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82
そして、剣は鉄から造りますので、鉄製品は剣に限らず造りたては「銀色(黒色)」と言うことになります。
ただ、しかし、この剣銀色(黒色)は、カラス(烏)のような漆黒の黒色ではありません。
パンジャブ語由来のカラ(黒)ではないということです。

では、鉄製品で漆黒の黒色が得られることがあるでしょうか。
それは、そうした出来たての鉄製品をさらに900度程度で熱しますと、表面に黒色の錆が生じるそうです。
https://oigen.jp/enjoy/worldofcraft/22570
これは、鉄製品は放置しますと空気に触れて酸化し赤錆が生じますので、この赤錆が生じるのを防ぐための措置です。
そのため、昔は、鉄瓶や包丁、鍬など鉄製品は真っ黒い色をしているのが普通だったわけです。
今は、錆びにくいステンレス鋼が用いられる場合が多いので、黒い包丁などは見かけないですね。

さて、ここで、古代朝鮮半島での鉄生産を見てみましょう。
古代朝鮮半島では鉄鉱石を溶かして鉄を作る産鉄が行われていて、倭人も含めて周辺の種族がこの鉄器、鉄素材を入手していました。
中国の史書にこのことが書かれています。
鉄器や鉄素材が造られていたのは、今の慶尚南道陜川郡冶炉やその近辺だとみられています。
この地方は、加羅(カラ)と呼ばれたそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%BD%E8%80%B6

そうしますと、この加羅では、周辺の需要を満たす多数の鉄製品が継続して造られていたことになります。
そこで、この加羅(カラ)の言葉とパンジャブ語由来のカラ(黒)を重ねてみますと、非常に面白い推測ができるのです。

加羅(カラ)の鉄器生産地やその集積地には、多量の鉄製品や鉄素材が置かれていたわけですから、赤錆防止のための措置が施された真っ黒な鉄製品がいたるところに積み上げられていた情景が浮かびます。
そして、「真っ黒」を意味するのが、パンジャブ語由来の「カラ」なのです。
つまり、真っ黒な鉄製品や鉄素材がいたるところに積み上げられた街
の名が加羅(カラ)だということは、その加羅(カラ)とは「真っ黒な街」を意味している可能性があるというわけです。
そのカラ(黒)に加羅の字を当てたのは新羅と同じ用法で、羅の字は城壁で囲った街を意味したということですね。
加の字は、日本の万葉仮名と同じようにカの音を表したものでしょう。

このように考えますと、朝鮮半島にもパンジャブ語由来のカラ(黒)の言葉はもたらされていた可能性が高くなります。
そして、日本語のカラス(黒い鳥)のカラも、その朝鮮半島の加羅(カラ=黒)と同系の語彙であり、インドから中央アジア、モンゴル、朝鮮半島、日本へとつながる交易路上にこの「黒」を表す「カラ」の語彙は確かに広がっていたと見なすことができることになるのです。
user.png 空とぶマントヒヒ date.png 2024/08/18(Sun) 16:19 | 返信 | 削除 |

- ASKA BBS -