資料 |
●アイヌ語の「鳥」と類似音の語彙:
chir; chikap | 鳥 | toriとも言うが、縄文語起源の同根?まぁ日本語からの借用語だろう。さしたる根拠もないが。 |
chip | 船 | 「鳥+船」のモチーフもアイヌ語だと chir-chip となり語感がヨロシイ。「秩父」? |
chiw | 潮、流れ |   |
chup | 太陽、月 | (空を)流れて行くもの、つまり chiw-pという原義の解釈もある |
chuk | 秋 | 日本語「秋(トキ)」との関係? chuk-ipe 秋の・鮭:トキ鮭 |
chikap rup | 鳥の群れ | 大年神の配偶者「天知迦流美豆比賣」はこれか? |
chikap say | 鳥の群れ |   |
chikir | (動物の)足 |   |
chikuni | 木、樹木、立木、薪 |   |
chirir | したたり落ちる |   |
chire | 湯がく、ゆでる、煮る |   |
chik chik | したたり落ちる | 伊豆・杉鉾別命神社のいわれ |
●「鳥」に関して「渡り鳥が伝染病(疱瘡)を媒介する」という考えがある。そこで、鳥の異名として、歩く神(apkas kamuy; arpa kamuy)、歳を持つ神(pakor kamuy)、大きな姿の付いた神(si kat or kamuy)(知里真志保・人間編P354では「糞形のついた魔神」とする)など多数がある。歳を持つ神と大年神を別途あげてある。
●余談めくが、知里真志保、の「知里」も鳥の意味であろう。沙流の人が疱瘡神に対して「我らも鳥の子孫なのだから病気にしないで呉れ」と祈るそうだ。
●日本古代:鳥の付く名前(+α):
木花知流比賣 | 知流=chir ? | 出雲系譜 |
鳥耳神 | chir kisara | 出雲系譜・大国主夫人 |
鳥鳴海神 |   | 出雲系譜・大国主と鳥耳神の子 |
日名照額田毘道男伊許知迩神 | 「照」=鳥? | 出雲系譜・鳥鳴海神夫人 |
布忍富鳥鳴海神 |   | 出雲系譜 |
武夷鳥 | 上の「日名照」と同じ?? | 出雲神官系譜・穂日の子 |
櫛甕鳥海 |   | 出雲神官系譜・第6代 |
知里 | chir=鳥 | 出雲神官系譜・第8代 |
海部直鳥 | 天のヒタ鳥・天夷鳥・日名照 | 肥前風土記 |
天御鳥命 | 古事記の「建比良鳥」と古語拾遺の「彦狭知命」に相当するらし | 出雲風土記・「知」字は chir? |
天知迦流美豆比賣 |   | 古事記出雲系譜・大年神夫人 |
大年神 | pa=年・歳・疱瘡:鳥が伝染源 | 古事記出雲系譜 |
速都鳥命 |   | 国造本紀#110穴門国造 |
鳥屋神社 |   | 出雲風土記・斐川村伊波野の鳥屋にある |
船底(神社) | chip so船床→chir set 鳥・巣(鳥栖)? | 肥前風土記 |
説話類 | ||
天若ヒコに鳥が伝達 | 鳥を殺すので彼も殺される | 記紀 |
天若ヒコ葬儀に鳥が活躍 | 鳥葬の残痕?? | ニギハヤヒにも同様の伝承[先代旧事本紀] |
垂仁皇子ホムツワケの話 | 鳥を見て喋るようになった。鳥取部のこと | おものき考 |
伊勢津彦は天夷鳥の子、出雲建子、櫛玉命 | 武蔵国造 | 伊勢の語源 |
イザナギ・イザナミ国生みの時その方法が判らなかい。「セキレイ」(鳥)の動きを見て、その方法を覚った | 同様の話がアイヌにもある | 日本の民話#3神々の物語、瀬川拓男ほか、角川文庫、p20 |
宇武加比比賣命、神魂命の子、法吉鳥と化る |   | 出雲風土記・嶋根郡 |
賀夜奈流美(かやなるみ)命の御魂を飛鳥の神なびに坐せて | 鳥鳴海との関係は?turi=船の棹:櫂=カヤ? | 出雲国造神賀詞・参考カヤナルミ |
●chir と chip が混乱した(らしい)話:出雲風土記の地名よりコピー:
鳥上山=船通山
仁多郡に居る内に触れて置かねばならないのが「鳥上山」でしょう。今、「船通山」と称していますが、全く関連の無い改称或いは別称があったのでしょうか。それぞれ「山」以外の部分を、アイヌ語に直してみると、 「鳥上」が、chir-kasi、「船・通る」が、 chip-kus となり、chir と chip、kasi と kus は通じてしまったのでは、ないでしょうか。 (「鳥船」=chir chip →秩父、も興味のある作業仮説です。)
●鳥のいない国=chikap sak mosir(まぁ、日本語で地獄みたいな所)