味鋤高彦根命は倭国葛上郡高鴨坐神捨篠社に祀られている。この「神捨篠」という語を考えてみた。日本古語の範疇では良く判らない。
そこで、琉球語で考えてみると:(『沖縄古語辞典』)
●捨:すて←すで←孵で:
- 孵でる=蛇などの脱皮、雛の孵化など、新しい生命の出現を原義とし、転じて、再生する、若返る、ありがたく戴くなど・・・
●篠:しの=太陽(神)
「すでしの(孵でしの)」という語は『沖縄古語辞典』には見あたらないが、「孵(す)で」で始まる複合語の例は幾つかある:即ち
・すでみづ(生命を再生させる水)、
・すでまつ(精気のあらたまった、すばらしい松)、
・すでもの(新生の勝れ者。生命力が再生する者。・・・)
「神捨篠」とは:「神・再生・陽」というのが原義か?
即ち「天照大神」の「岩戸隠れ」そして「再生」に因んでいるか。
また、「神捨篠」と「アヂスキ」の間に関係があるか?
「しの」は「太陽」のみならず「月」も意味しうるので、味鋤高彦根命が月とつながるか、の捜査。。。
(1)
まず、月夜見命が保食神を殺す話(日本書紀)が古事記ではスサノヲがオオゲツ姫を殺す話になっており、月夜見≒スサノヲ、を抽出する
(2)
阿遅須枳高日子命 御須髪八握于生 夜昼泣く 言葉通じず(出雲風土記仁多郡p226)
須佐之男命 八拳須至于心前、泣きイサチキ (神代記p72)
(本牟智和気王も 八拳鬚到于心前 眞事トハズ とあるが今は無関係だろう)
ここから須佐之男命≒阿遅須枳高日子命
ゆえに 月夜見≒阿遅須枳高日子命
(ここで「≒」記号は、「殆ど同じ」というよりは「混乱、習合、異伝承」あたりの意味合いで使っている。)
アヂスキの妹が「下照姫」(高照姫、とも)。これは「しな照る」で、日月が照る、の意味だと理解している。アヂスキはさしづめ「下照彦」か。。。本人and/or妹が日照・月照と縁がある、というのはどうだろう。
更に「孵る、すでる」(再生する)に関して、アヂスキは天若彦の「再生」(らしきこと)に関わってる、という見方もできようか。
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