欠史時代再構築の試み5 籠神社の古伝 ほか |
京都府宮津市にある「籠(この)神社」の古伝に曰く(海部穀定著「元初の最高神と大和朝廷の元始」(桜楓社)P17)「天香語山命」に関して: |
亦名 手栗彦命 亦名 高志神彦火明彦命於天上生神也。母天道姫命。(中略)亦名 祖母命也)参照「高倉下」 |
とある。 |
越後の一宮、彌彦神社の祭神は「天香山命」であり、これを「高志神」と呼ぶのもむべなるかな、である。
日本海沿岸を富山県から新潟県に登って行くと、青海町、糸魚川市、能生町、名立町、となる。名立町にある江野神社の祭神は「素佐能男命、奇稻田姫命、大己貴命、事代主命、建御名方命、大山命、彦舅命、影姫命、武内宿禰、屋主忍男武雄心命」とある。太字にしたように「奇稻田姫命」が出てくるのが興味を引く。というのは、別に論じたように「立」と「槌、椎、土」は同語でありそうだからである。 つまり、「名立」は「名椎」と同語でありそうだ。そう、クシナダ姫の親である、手名椎・足名椎だ。また、こうして見てみるとクシナダ、の後半も「名立」に通じているようである。以前から気になっていた「名立」地名であったが、江野神社祭神を見て、心証を強くした。
越における出雲色、という側面が見えてくる、もう一つの事例は居多(けた)神社である。今は「こた」と読まれているようだが、「けた」で良いだろう。祭神は「大國主命、奴奈川姫命、建御名方命、事代主命」。神奈備HPによると「元々北1kmの身輪山に鎮座。新潟県上越市五智6丁目1-11」とあり、三輪山とも因縁をつけられているようだ。(但し「三」の「ミ」は甲類、「身」は乙類) 因幡の白兎伝説に出てくる「気多」地名を想起するが、この辺りに「兎」の痕跡は見当たらない。強いて上げれば海中にオキノシマに比定できようか、夫婦岩、というのが見つかっただけだ。また、因幡の気多で論じた「菱」との関係も、ここには観察出来ていない |