何が判ったのか |
今まで見てきたMtDNAが教えてくれることとその限界をよく考えて、何が判ったのかを考えてみる。 一つのデータをみてみよう。すなわち、縄文人骨の浦和一号と現代マレーシア人インドネシア人それぞれ1人の190塩基配列が一致した、現代日本人サンプル62の中で一致したものはなかった。一つ違いが15人、二つ違いが8人、3〜8違いが39人であった。
このデータが教えてくれることは
このデータが教えてくれないことは
このデータが教えてくれることのもう一つは つまり「日本人のルーツは?」と問うてみても個人、個人によって違うのである。考えてみれば当たり前、ではないか。 しかしながら、うまい言い方が工夫できていないようで、どうしても、日本人のDNAの種類、だとか、アイヌのDNAだとか、そういう表現、表記で記述がなされる。端的に云って尾本さんの本でいう「日本人116人」というのは静岡県三島市在住の人のことなのだ。そして、尾本さん自身がMtDNAの塩基配列には地域差が見られる、としているのだ。一々書くのは煩瑣だから、単に「日本人は・・・」という語句を見たときに、「日本人の一部は・・・」と頭の中で翻訳して読むべきだろう。 (注)「塩基置換の速度」と言われるが果たして塩基置換の速度自身が核DNAとMtDNA、またMtDNAのD-ループとで異なるのであろうか? すなわち、置換速度、すなわち、突然変異の起きる確率は同じなのではなかろうか。しかしながら、置換された結果が致命的なことになればその個体は生殖せずに死亡するとか、その子孫の生存確率が下がる、その結果、遺伝の代数を経るほど、致命性のない変異が保存、遺伝されて、より高い多様性が観察出来る、ということなのではないか。だから、致命性のないD-ループに個体差が顕著に表れる、ということではないか。 |
ミトコンドリアDNAは何を教えてくれるか? | |
はじめに | ミトコンドリアとは? |
D-ループ | 遺伝に関わらないMtDNAの一部 |
利点と弱点 | MtDNAによる系統研究の弱点 |
何が判ったのか | 落ち着いて考えよう |
12,000年の意味 | あくまでも平均である |
追補:アイヌと琉球人の遺伝的距離 | 触れられない事実 |
再び、アイヌと琉球人の遺伝的距離 | 12,000年以上離れているは虚 |
三種類の縄文人? | 何を意味するのか? |
クラスター分類の読み方 | 何を意味するのか? |
たけ(tk)氏の「ミトコンドリアDNA研究」の紹介 |
ミトコンドリア関係リンク |