三種類の縄文人? |
縄文人には三種類あった、というまとめ方を読んだことがある。どうやら本州の縄文人に関して云っているらしく(1)アイヌと同一のMtDNAパターンを共有している人(2)琉球人と同一のMtDNAパターンを共有している人(3)アイヌとも琉球人ともパターンを共有しない人、の三種類のようだ。
尾本さんの『DNA人類進化学』p99の図から読み取ると、 本土全体の62サンプルには総計で53パターンあったそうで、それほどにバラバラだ、ということに注目しておきたい。つまり62人中、最大でも9組の二人が同じパターンを持っていた、ということだ。多いとするか、少ないとするか。単一民族的に考えてきた人にとっては、これほどにバラバラなのだ、ということを認識して欲しいし、一方、全国民が全部バラバラに違うわけでもない。 本土中心の視点から、この53パターンのうち、4パターンはアイヌにも共通していた、3パターンは琉球人と共通していた、ということから、「三種類」に分別してみることは出来るといえば出来る。しかし、どうもそう分類してみることに積極的な意味が見出せない。むしろ、「アイヌとも琉球人とも共通しない人種(部族)が本州にいた、それが出雲民族か?」などという、訳のわからない話をしだす人が出る始末だ。 本土に在住していた多様な(とりあえず、62人が53パターンを示したほどに多様な)MtDNA保持者のうち、何人かの女性がアイヌ男性と子をもうけ、何人かの女性が琉球男性と子をもうけた、というだけの話だ。アイヌとも琉球人とも結婚しなかった部族を取り立てて独立の分派だとする必要が全く無い。 「縄文人には少なくとも三種類あった」ということの意味・意義を問うものである。
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ミトコンドリアDNAは何を教えてくれるか? | |
はじめに | ミトコンドリアとは? |
D-ループ | 遺伝に関わらないMtDNAの一部 |
利点と弱点 | MtDNAによる系統研究の弱点 |
何が判ったのか | 落ち着いて考えよう |
12,000年の意味 | あくまでも平均である |
追補:アイヌと琉球人の遺伝的距離 | 触れられない事実 |
再び、アイヌと琉球人の遺伝的距離 | 12,000年以上離れているは虚 |
三種類の縄文人? | 何を意味するのか? |
クラスター分類の読み方 | 何を意味するのか? |
たけ(tk)氏の「ミトコンドリアDNA研究」の紹介 |
ミトコンドリア関係リンク |