平均置換速度12000年の意味 |
MtDNAのD-ループの塩基は平均12,000年で一つ置換される、という。これに基づいて、あるアイヌ人骨とある琉球人骨から抽出したサンプルでは、塩基が一箇所だけ異なっていた、というデータから、彼らは少なくとも12,000年は互いに分離していたことになる、という結論がある。 12,000年とは「平均」であるのに「少なくとも」と云われていることには疑問がある。たけ(tk)氏が計算したところによると、塩基の違い一箇所の場合の分離年代は5,000年以内である確率が30%、10、000年以内である確率が51%、などなる。 アンデスのサンプルとアイヌのサンプルで二箇所異なっている組があった、という。二箇所の違いに関しては5,000年以内の確率が9%、10,000年以内が21%、20,000年以内が47%などとある。 つまり、塩基の違いの箇所数で遠縁か近縁かを論じるのも飽くまでも可能性、確率の問題なのだ、ということは知っておくべきだろう。
なお、
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ミトコンドリアDNAは何を教えてくれるか? | |
はじめに | ミトコンドリアとは? |
D-ループ | 遺伝に関わらないMtDNAの一部 |
利点と弱点 | MtDNAによる系統研究の弱点 |
何が判ったのか | 落ち着いて考えよう |
12,000年の意味 | あくまでも平均である |
追補:アイヌと琉球人の遺伝的距離 | 触れられない事実 |
再び、アイヌと琉球人の遺伝的距離 | 12,000年以上離れているは虚 |
三種類の縄文人? | 何を意味するのか? |
クラスター分類の読み方 | 何を意味するのか? |
たけ(tk)氏の「ミトコンドリアDNA研究」の紹介 |
ミトコンドリア関係リンク |